総務委員会行政視察

 平成18年10月4日(水)から6日(金)にかけて、私の所属する総務委員会が行政視察を行いました。視察先は九州地方の佐賀市、長崎市、太宰府市の3市でした。その概要を感想も含めご報告したいと思います。


佐賀市総合窓口

佐賀市役所


佐賀市:市民総合窓口について
佐賀市は言うまでもなく佐賀県の県庁所在地です。昨年10月1日に佐賀市は諸富町、大和町、富士町、三瀬村と合併し、新しい「佐賀市」となって発展を続けている。来年には南部三町と合併するべく現在協議中とのことであった。佐賀市では「市民総合窓口について」「電子入札について」の2つのテーマで視察を行った。「電子入札について」は長崎市の視察テーマと合わせて後述したい。
 佐賀市役所の大きな特徴は1階フロアーを市民総合窓口にして市民に対応しているという点にある。「届出コーナー」「証明コーナー」「外国人登録コーナー」の3つのコーナーを総称して総合窓口としている。
「届出コーナー」
 戸籍の異動、住所の変更、印鑑の登録、住所の変更に伴う国民健康保険税、年金、老人医療、小中学校の指定、児童手当、乳幼児医療等の手続きを一括して取り扱う。
「証明コーナー」
 戸籍の証明、住民票の写し、印鑑証明、税証明を一括して取り扱う。
「外国人登録コーナー」
 外国人登録に関する事務を取り扱う。
 このシステムは平成13年10月29日から稼動しているが、その特色は、
1)これまで市民がいくつもの窓口を移動して行っていた手続きのほとんどが一つの窓口で終わる。
2)これまで時間がかかっていた届出業務や証明業務の時間を大幅に短縮。
届出業務(これまで最大6箇所90分→1箇所20分)
証明業務(これまで2箇所3証明20分→1箇所5分)
3)市民の目的窓口が分かりやすいように各窓口を色と形で表示している。
『緑色 ・□』  保険・年金コーナー
『赤紫色・△』  届出コーナー
『紺色 ・○』  証明コーナー
4)市民を目的の窓口までフロアマネージャーが案内する。
5)戸籍・住民票・印鑑証明の申請書の様式を1枚にまとめた。
6)すべてのカウンターを低くして、市民が座ったまま届出や証明を取ることができる。
 実際に視察して感じたのは、1階フロアがゆったりとしたスペースになっているということでした。
 長いカウンターが数10メートルに波形に配置されており、車椅子でも接遇できるような低い高さで、カウンターの中も目線に障害物のないすっきりとした空間になっていました。ネームプレートをつけた職員(フロアマネージャー)がいつでも対応できるように立っている様子を見て、市民にやさしい窓口であるという印象を持ちました。
 総合窓口開設にあたり苦労したのが、市民に接遇する職員のレベルアップだったということです。ふつう役所の中は縦割りですから、自分の窓口のことだけに精通していれば足りるのですが、1つのカウンターで手続きを横割りで受け付ける場合には、他の窓口の申請事務についても理解していなければなりません。職員が適宜研修を受け、常に万全の体制で手続きを受け付けることができるようにしておかなければなりません。職員のこうした努力があり初めて、市民の利便性が向上するのだと思います。
 市川市は長いカウンターを設置するスペースもなく、佐賀市と同じシステムを導入することはできませんが、申請書式の一本化や職員研修の充実など、取り入れることのできる点も多いと感じました。

佐賀市・長崎市:電子入札について
T.佐賀市の「電子入札について」
 佐賀市ではほとんどの発注工事を指名競争入札と随意契約の方法で決めてきた。これは入札に参加する業者をある程度特定しないと不適格業者の落札による不良工事の問題、入札契約に係る事務量の大幅な増大の問題など、経常的に一般競争入札を実施できない要因があったためである。
 しかしその結果として、落札率が98%前後を推移し、競争性の高い入札方法を実施している他の都市と比較すれば、高率落札が恒常的な状況になっていた。さらに談合情報が度々発生し、公共工事に対する市民の信頼が大きく揺らいでいた。これらを踏まえ、平成11年度から条件付一般競争入札を導入することにした。
 また佐賀市では、平成14年10月に「IT推進計画」を策定し、これを受けて電子入札が導入されることになった。平成16年11月にシステム構築が開始され、平成17年6〜7月に練習入札、8月以降から実施されている。佐賀市の電子入札システムは、(1)発注者・入札者ともに使いやすいこと、(2)入札者(業者)の負担が少ないこと、(3)システム構築及び保守費等電子入札運営にかかるコストが小さいことなどを考慮してつくられている。この結果、土木工事に係る電子入札には、市内業者のうち90%以上の業者が対応可能になっているということである。
U.長崎市の「電子入札について」
 長崎市では平成15年9月議会で補正予算を計上、12月に電子入札システム構築に着手、翌年3月にシステムが完成し、平成16年4月から稼動している。導入検討時に、稼動中の主なシステムである全国標準モデルとして国が開発した「コアシステム」とNTTが開発した「横須賀システム」を機能面、コスト面、構築期間、稼動実績等から比較検討した結果、「横須賀システム」に決定した。導入費用は約6500万円である。平成16年度から事業費1億5000万円未満の建設工事には原則として電子入札による制限付一般競争入札が導入されている。
 電子入札を導入したことにより、1入札あたりの事務処理時間が、郵便入札では9.5時間であったのが電子入札では1時間と大幅に短縮された。また業者にとっても役所へ出向くことなく、自分の都合の良い時間に手続きをすることができ、負担の軽減が図られている。役所と業者の接触がなくなるため、公正性が確保され、競争性の向上につながる。また、内容をホームページで公表することから透明性の向上にもつながっている。
 両市の電子入札システムを視察して感じたのは、このシステムはおそらく今後各自治体に急速に普及していくだろうということです。「談合」に象徴されるような不明朗、不透明で汚職の温床にもなりかねない公共工事を公正で透明なものにしていくためには、能力のある業者であれば誰でも平等に入札に参加できる一般競争入札を導入していくことが不可欠です。ところが、一般競争入札を進め、参加をオープンにすればするほど事務寮が増え、膨大な事務手続きが必要になってしまうということになります。この欠点を補う有効なシステムが電子入札なのです。
 市川市でも1件当たりの設計金額が1千万円以上の建設工事については原則として電子入札システムを利用した制限付一般競争入札が導入されています。公共工事を巡る不祥事が絶えることのない今日において、システムの確立が急務となっていることを実感しました。


長崎市役所

大宰府市役所


太宰府市:「歴史と文化の環境税」について
 太宰府市では、他の自治体にはない「歴史と文化の環境税」という法定外普通税を設けている。「法定外普通税」とは、国が法律で定めたものではなく、自治体が独自に徴収し、目的を限定せずに自由に使える財源とするもので、平成11年に地方分権一括法が制定され、これまで国の許可を必要とされていたのを、一定の要件を満たすものは国は同意しなければならないというように条件が緩和されたこともあり、太宰府市が導入に踏み切ったものである。
 太宰府市は、大宰府政庁跡をはじめ市内各所に点在する多くの文化遺産があり、全国的に有名な太宰府天満宮があることから、日本各地から年間650万人が訪れる。このため「歴史と文化の街づくり」への市民のニーズは高いものがある。
 一方、行政改革を推進するなどしても、財源捻出には限界があり、新たな財源を650万人という来訪者に着目して、有料駐車場の利用1回当たり100円の法定外普通税を導入することとして、平成15年5月から条例が施行された。毎年約5000万円程度の税収が予定されている。
 自治体が独自に税金を市民に課すというのは非常に難しいもので、太宰府市はよく導入に踏み切ったものだと思いました。導入に際して、当然駐車場経営者は強く反対しましたし、市民の理解を得る努力も大変だったであろうと思います。111億円の財政規模のうち5000万円程度の税収を確保するためによくも導入に踏み切ったものだと思いましたが、1つの実験であろうと思います。
 今後の方向性として、「基金の創設についての調査研究」があげられていたのですが、その意味を詳しく聞いてみたところ、「税金で取るのではなく、基金をつくって寄付してもらう」という考え方だそうで、太宰府市自身、この制度を再検討する途を残しているということがわかりました。まだ3年経過したばかりの太宰府市の実験からはこれからも目が離せないなと思いました。

視察を終えて
 九州3都市を3日間で視察するという駆け足の行程でした。当たり前の話ですが、佐賀にある家内の実家に連絡もとれませんでした。強行軍ではありましたが、それなりに有意義なものであったと思います。
 今回は管財部長と市民生活部長も視察に同行していただきましたが、部長が視察に同行して同じ仕組みを一緒に見たことで、視察した良いところを市川市の行政に取り入れる責任というものが市川市自身にも生じるのだと思います。議員も、行政の理事者も、そんな気構えをもって行政視察を行わなければならないのだという思いを強く持ちました。