行徳臨海部特別委員会視察

行徳臨海部特別委員会 福岡市を視察
 平成18年8月23日(水)〜24日(木)、私の所属する市川市議会行徳臨海部特別委員会が福岡市を視察しました。視察の目的は、福岡市にある博多湾について、市がどのように行政として対応しているのかを調査し、行徳臨海部の問題を考える参考にしようとするものです。以下はそのご報告です。


オリンピック招致問題

 8月30日のJOCの候補地決定に向け、東京都との間で招致合戦が大詰めを迎えている中で訪れた福岡市は、市庁舎内の壁や電車の吊り広告など多くの公共の場にオリンピック招致を訴える実行委員会の呼びかけが掲示されており(写真1・2)、また私たちへの議会事務局の方の最初のご挨拶にもこの話があり、福岡市招致に向けた熱気が感じられました。
 福岡市民に夢と感動を与え、学習と参加の機会を提供したいとの福岡市の熱意はわかります。福岡市の試算では経済波及効果は1兆2000億円としているようですが、福岡市の財政を調べてみると、借金の総額である地方債現在高は1兆3700億円近くもあり、財政規模に占める借金返済額の割合(公債費比率)は平成16年度で24.5%と、過去の投資の返済にアップアップしているというのが福岡市の実情です。現地でそんなことは言いませんでしたが、石原東京都知事が言っているように、財政状況を考えたらおやめになった方がいいんじゃないかというのが私の率直な感想です。


写真(1)


写真(2)


福岡アイランドシティ

 アイランドシティとは、博多湾の東にある海域を埋め立てて、福岡市を支える新しいまちを作るという計画です。水深の浅い博多湾を浚渫した土砂を使って島をつくり、港や産業の場、住宅地や緑地をバランスよく配置して、「はたらき、くらし、遊ぶ」ことができる「未来のまち」をめざすという構想です。もともと干潟を埋め立てて陸続きにする予定でしたが、渡り鳥のすみかになる干潟を残すため、島というかたちになりました。
 総事業費は3912億円、401fのうちすでに214f、53%が竣工しているとのことですが、まず経済発展に直結する港湾整備が優先されているようです。平成15年9月に供用が開始された国際コンテナターミナルや、水深14m航路の全面供用開始によって、6万t級のコンテナ船も接岸可能となりました。ターミナルに隣接する物流用地も順次分譲開始し、輸出・輸入から荷捌、流通、加工、展示・販売までを行える「ロジスティクス・ゾーン」の形成を目指しています。
アイランドシティではこの他にも「快適に暮らせるまち」(バリアフリー住宅、水や緑とふれあえる公園、環境への配慮)、「新しい研究を行う場」(最先端の科学技術にふれる施設)「交通環境の改善」(便利な道路の建設)などが予定されていますが、全体が出来上がってはじめてこのプロジェクトの成否が判明するという感じで、すでに建築して分譲された瀟洒な戸建の家(写真3)などもありました。現在200世帯500人の方々が生活しているとのことですが、島にはまだ学校もスーパーもなく、私には今買って住む気にはとてもなれません。きれいに整備された外周緑地から対岸を見ると、「エコパークゾーン」というプロジェクトで整備された護岸を見ることができました。(写真4)


写真(3)

写真(4)


エコパークゾーン

 ということで、「エコパークゾーン」のご報告です。
 「アイランドシティ」を含む博多湾の海域をエコパークゾーンとして位置付け、それぞれのエリアの特徴をいかしながら環境にやさしい人と自然の共生できる地域づくりをすすめていくという構想です。「シーブルー事業」という国の補助を受けて行われる事業の一環です。
 博多湾東部海域やその周辺の穏やかな海域と海岸域は、豊富な生態系を有する和白干潟や、砂浜、磯浜などの変化に富んだ自然海岸、貴重な海浜植物群落が見られる唐原川河口付近など豊かな自然環境が残っているところです。福岡市ではエコパークゾーンとして次の4つのゾーンを設けて、それぞれ特色ある整備を行っているということです。

御島ゾーン(歴史的要素を活かした憩いのゾーン)
香住ヶ丘ゾーン(水辺と緑に親しむゾーン)
和白干潟ゾーン(干潟を中心とした豊かないのちを育むゾーン)
海の中道ゾーン(砂浜に親しむゾーン)
 この中でも、特に和白(わじろ)干潟は、鳥の餌となる貝やゴカイ、カニなどの多くの底生生物が生息していることから、朝鮮半島などからの渡り鳥の重要な中継地、越冬地となり、全国的にも有数の野鳥飛来地として知られています。(写真5)


写真(5)

かつて高度成長時代の環境保護運動は、「開発か」「保全か」という二者択一の運動に終始して、その当時は「自然と人間の共生」という考え方は開発を前提にした保全であって言葉自体を使うことがタブー視された時代がありました。しかし残すべきものは残しつつも、人間が自然を活かす方向で一定の手を加え、共生していくような環境整備が必要であり、それがこの「エコパークゾーン」というプロジェクトなのだと思います。和白干潟を埋め立てずに残し、養浜・覆砂、護岸整備などの事業を、市民ニーズを把握しながら、またアセスメントをしっかり行いながら実施していくということが大切であると感じました。


「シーサイドももち」

 「シーサイドももち」とは、福岡市早良区と中央区にある埋め立てウォーターフロント開発地区のことです。
 福岡タワー、シーサイドももち海浜公園、福岡市総合図書館、福岡市博物館などがあり、マスコミ各社、IT企業や高層オフィスビル、マンションなどが林立しています。福岡Yahoo!JAPANドームもここにあります。1989年に「アジア太平洋博覧会(通称:よかトピア)が開催されたあと、現在の形へと開発が進められたそうです。
 福岡タワー(平成元年3月完成・234m)の展望台(123m)に上って周辺を展望してきました。眼前に広がる東西約2500mの人工海浜(これもシーブルー事業の一環として整備されたのだと思います・写真6、7)では、ビーチバレーを楽しむ人たちの姿が見られました。市川市の塩浜地域にもこのような海に親しめる海浜が誕生すれば素晴らしいことだと思います。


写真(6)

写真(7)


視察を終えて

 同じ都市といっても福岡市は政令指定都市であり、市川市が福岡市と同じような事業ができるわけではありません。埋め立ても、港湾整備も、護岸整備も政令指定都市だからできることであって、市川市の場合は千葉県にこれを求めていかなければなりません。行徳臨海部の整備にあたっても、福岡市が行っているような市民が親しめる親水護岸の整備や養浜・覆砂事業などを行っていくべきだと思います。県が東京湾の埋め立て計画を中止したのはそれで良いとしても、臨海部の整備にあたって1mも埋め立ててはいけないという硬直的な対応であっては、市民に親しめる環境整備はできません。塩浜沖の海のヘドロを浚渫し、浦安市側がすでに埋め立てて不自然になっている部分から「養浜・覆砂」して水辺に親しめる環境整備をすすめるべきです。
 また福岡市では、市民参加によるアマモづくり(アマモの種シートづくり、学習会、経過説明会)、アオサ農園の企画・運営のNPO法人への委託、市と市民共同の和白干潟の自然環境保全など、市民参加の環境整備を進めており、三番瀬の環境整備もこうした市民参加の視点が重要であると強く感じました。
 行徳臨海部特別委員会初の県外視察でしたが、普段委員会で議論するだけの他会派の議員の方々といろいろな話をして互いの考え方を理解しあい、また問題認識を共有できたという点でも、意義のある視察であったと思います。