みらいの荒木 詩郎です。
ただいま議題となっております、議案第87号、平成25年度市川市一般会計予算から、議案第94号、平成25年度市川市病院事業会計予算までの、8議案につきまして、緑風会、自由クラブ、自由民主党、市川政友会みらいを代表いたしまして、原案賛成の立場から、一括して討論をさせていただきます。
大久保市長におかれましては、ますますご健勝にてご活躍のこと、およろこび申し上げます。
早いもので、大久保市長が誕生し、市政を託されてから、4年目を迎えます。3年半前、寒風の中を朝早くから、大久保市長候補と市川市内の各駅前に立っていたのがついこの間のことのようであります。
が、しかし、市長は、就任直後からも寒風に身をさらすことになりました。
2008年に発生したリーマンショックを機に、世界的金融危機、いわゆる世界同時不況の波が本市にも押し寄せ、市川市の歳入の根幹でもある市税収入が伸び悩むといった状況となりました。
また、ちょうど二年と二日前に発生した「東日本大震災」の惨劇は、いまだに、私たちの心に、はっきりと焼き付いております。
私の住まいは、ハイタウン塩浜という大きな団地でありますが、ここも大きな打撃を受けました。水道本管の破裂による断水、そして停電、エレベーターの停止など、かつてない事態に直面し、行政の協力を得ながら地域住民の力で危機を乗り越えるという体験を余儀なくされました。
行徳臨海部を中心に液状化の影響から、大量の土砂が噴出し、塩浜小中学校をはじめとした、多くの公共施設などに被害が生じ、多額の財政出動を余儀なくされる一方で、湾岸企業の固定資産税、都市計画税を中心とした市税収入にも、大きな打撃を与えたのであります。
あの3.11以後、各地を視察してまわりますと、全国民の間に 生活に安心と安全を求めている気運が高まったと肌で感じている次第であります。
このような中、大久保市長は、のちほど述べますように、安心と安全に対する施策を新年度にも最重点課題にすえる姿勢を見せており、心強い限りであります。積極的に推進していただきたいと思います。
国政では、昨年末の総選挙により、自民党・公明党の新連立政権が誕生いたしました。
月とスッポンでありましたが、安倍晋三さんは学生時代のゼミの同期生で、彼のことは良く知っております。彼ならやってくれるものと信じておりますが、いわゆるアベノミクス−「大胆な金融政策」、「機動的な財政政策」そして、「民間投資を喚起する成長戦略」の「3本の矢」を柱とした経済再生に向けた政策が、力強く放たれたことや、国民の期待感にも後押しされて、徐々にではありますが、市場は、株高・円安方向に動き、明るさを取り戻しつつあるとの報道もなされております。
しかし国家財政などを考慮すると、予断を許さない状況にあるのは紛れもない事実です。
このような中、政府は、24年度において、大型補正予算を編成し、25年度予算とあわせ、「15ヶ月予算」と位置づけ、切れ目のない経済対策で景気を底上げしていくという措置をとりました。
これに対して市川市も敏感に対応し、国と歩調をあわせ、可能な限りの公共事業費を確保いたしました。24年度の補正予算に、前倒しして予算措置をし、財源の有効活用を行ったことを高く評価いたしたいと思います。
それでは、平成25年度の市川市一般会計予算について、意見を述べさせて頂きます。
はじめに、25年度の一般会計における予算規模は、1,271億円と前年度に比べ、67億円、5.0%の減となっております。 これは、本八幡駅北口A地区市街地再開発事業や、クリーンセンター延命化事業などのビッグプロジェクト事業の進展に伴い、事業費が大幅に減額となったものであり、これまでの取り組みが、実を結びつつあると感じております。
次に、当局が提出した、「当初予算案説明」に基づき、財政指数等について、何点か意見を申し上げます。
まず、25年度単年度の財政力指数は、1.000となる見込みで、依然として、普通交付税の不交付団体になると推測しているようでありますが、25年度においては、本市のような不交付団体は、臨時財政対策債の発行が、認められなくなるなど、困難な中での予算編成であったと拝察いたします。
臨財債について一言申し上げれば、国は交付税で補てんしてもくれないのに、起債を制限するなどは、余計なお世話だ、と言いたいのであります。
さらに、本市のような普通交付税の不交付団体は、普通交付税の交付が受けられないだけではなく、「補助ウラを交付税でみる」といった理不尽な措置などによって国庫補助金の交付においても、不利益な取扱いを受けているのであります。
地方自治体の財政の実情を無視したこのような国の姿勢に対して、行財政の実態を反映して予算編成ができるよう、市川市として国に制度改正を強く求めていくべきであります。
次に、経常収支比率について申し上げます。平成20年度に86.9%であったものが、25年度では、96.9%となる見込みとなっており、この5年間で、実に10ポイントもの上昇となっています。近年の経常収支比率の右肩上がりの実態を見ると、危機的な状況であると言っても過言ではなく、大久保市長が、今議会で繰り返し言われた行財政改革をしっかりと実行して頂き、経常収支比率の改善はもとより、将来にわたって、持続可能な財政運営が出来るように、そして、市民にとって安心できる財政体質の構築を責任を持って実施して頂きたいと思います。
次に、公債費比率及び地方債残高について申し上げます。公債費比率については、前年度に比べ、0.8ポイント減の4.7%となっており、地方債残高についても、25年度末の残高は、前年度と比べ、約50億円減の653億円程度になると見込まれていることから、地方債の発行に関しては、適切すぎるほどの財政運営を行ってきたものと思います。本来地方債は、本市が事業を行っていく上で、貴重な特定財源であり、指数をみる限り拡大の余地は十分にあると思います。
市民のために必要な投資はしっかりと行っていくべきであります。即ち、市債残高に留意しつつも、積極的に地方債を活用して、財源の拡充を図って頂きたいと思います。
次に、25年度当初予算案に計上されている、具体的な施策について、意見を述べさせて頂きます。
まず、市長が施政方針でも述べていた基本方針のひとつであります、「安心・安全なまちづくり」についてですが、冒頭にも触れましたが、震災の発生以降、防災や減災に対する市民の意識は、非常に高まってきております。そのような中、新年度予算には、老朽化した防災行政無線の再整備と情報の一括送信システムを構築するため、3ヵ年の継続費を計上するほか、更新計画に基づいた消防車両の更新も図られます。またいよいよ新年度には消防指令業務のデジタル化事業がスタートし周辺都市との連携が図られることにより消防救急業務の迅速・円滑化が期待されるなど、市民の安心確保のため必要な経費が計上されております。
また、時代に即した事業として、スマートフォンを活用した情報提供事業を行い危機に備えるなど、新たな事業展開や、道路・河川等の補修・改良といった、市民生活の安全に密着した予算を確保しており、また新たに、老朽化した排水路等の点検調査を実施するための予算を計上するなどの対策を講じております。
恐縮ながら、私はまだ視察したことがないのですが、国分川の調節池における上部利用についても、新年度から本格着手することとなり、市民が完成を待ち望んでいると聞いております。
このように「安心・安全なまちづくり」のための事業について重点的に予算配分がなされている印象を強くもっております。しかし、市民の安心・安全を確保するためには、「ここまでやれば良い」という着地点はありません。市川市民が、今、何を求めているのか、将来に向けて何が必要なのかといったことを、コスト意識を持ちながら、着実に事業を進めて頂きたいと思います。
次に、都市基盤整備のための予算について申し述べます。行徳地域の住民も 早期完成を待ち望んでいる、都市計画道路3・4・18号整備事業について27年度の開通を目指し、必要な事業費が計上されております。
庁舎整備事業についてひとこと申し述べます。突然走り出したという感は否めませんが、私は新庁舎建設には賛成であります。千葉前市長は、「IT社会になれば市庁舎はいらない」という論者であったと感じていますが、私は日本の都市にはその都市にふさわしい市庁舎があるべきだと思います。「庁舎」とは、昔であれば「城」にあたり、市民の安心と安全を守る象徴となるような建物でなければならないと思います。市民の声にも耳を傾けながら、市民に真に必要とされる、頼りがいのある新庁舎建設を検討していただきたいと望んでおります。
さらに、25年度から、良好な住環境に資する施策を進めるため、街づくり部に住環境整備課を設置するなど、組織改正を行うとともに、既存住宅の防災対策や、安全で快適な住宅へリフォームする改修工事のための助成事業の新設などが図られております。「住宅環境の充実」が大久保カラーの一つとして、新たに加わった気がいたします。
また、保健医療対策として、これまで実施してきた、子宮頸がん3ワクチンの予防接種事業において、国庫補助金が一般財源化され、3億1千万円もの補助金が廃止されました。不交付団体である市川市にとってこういうことをされるのが一番痛いのであります。国から二階に上がってはしごをはずされたような措置をとられたのにもかかわらず、これまでと同様に事業を実施していくための経費を見事に確保した上で、健康診査においては、25年度から新たに、血液検査による胃がんリスク検査を取り入れるなど、他市に先駆けた事業展開もなされております。
さらには、大久保市長の選挙公約でもありました待機児童の解消に向けては、平成26年4月1日開園に向けて、新たに私立保育園を5園整備するため、5億7千万円もの予算を計上し、420名の定員増をめざしております。来年度には3園の保育園が開園することに伴い、180名の定員増を見込んだ運営費を計上しておりますが、いまだに、認可保育園への入園希望者は、1,300人余りいると聞いており、焼け石に水の感があります。若年世代にとって、保育環境の充実は大きな魅力です。大久保市長がもし二期目を目指すのであれば、改めて待機児童の解消を公約にかかげていただきたいと切望しております。
道路交通網の整備について申し上げます。本市の狭あいな道路への対策として、セットバック部分を市に寄附する場合に、25年度からは新たに分筆や整備も市が実施することや、車同士がすれ違うのが困難な道路に対して「まごころゾーン」として、5箇所の退避スペースを確保するための予算など、課題解決に向け、着実に予算計上がなされております。 大久保市長の優しい性格がよく現れた予算ではないかと思います。
このように、25年度一般会計予算は、市税が減収となっている中、基金からの多額の繰入れをしている厳しい財政環境ではありますが、市民サービスを維持しつつ、工夫をこらしながら、必要なものについて新規に事業を展開するなど、厳しい中を適切な予算編成が行われたと評価しております。
また、議案第88号、市川市国民健康保険特別会計から議案第94号、市川市病院事業会計までの、各会計におきましても、それぞれの事業にそって、適切に予算が組まれているところであります。
その中でも、特に要望したい項目などについて、会計ごとに意見を述べさせて頂きます。
まず、国民健康保険特別会計ですが、高齢化の影響などに伴い、保険給付費は、年々増加する一方、保険税収入は、景気低迷の影響などから、伸び悩んでいるため、一般会計からの繰入金は、年々、増加しており、ついに50億円の大台に突入するといった事態になっています。
これは市川市の力ではどうにもなりません。私は僭越ながら、市川市の国保運営協議会の会長をさせていただいておりますが、全国の自治体が同じような事態にたち至っており、制度の抜本改正が強く求められていると痛感しております。とりあえず市川市としては、特別会計の独立採算の趣旨に沿うよう引き続き、収納体制の強化を図り、収納率の向上に向け、取り組んでいただきますよう要望いたします。
次に、下水道事業特別会計ですが、新年度は、雨水対策として、大和田ポンプ場の建設が本格化するほか、市川南に新たなポンプ場の建設用地を取得するため、債務負担行為を設定し、また、下水道普及率を69.8%にすることを目指す、汚水対策などの事業費が計上されており、前年度と比べ、32億円、34.7%増と、大幅に増となっております。
私が初当選した平成15年の下水道普及率は60%そこそこでありました。なぜ文化都市ともいわれる市川市の下水道普及率が低いのか不思議に感じたものでしたが、外かんや、3・4・18号など基幹となる道路幹線の未整備がその大きな原因であると知りました。その下水道普及率も70%の間近に迫り、基幹道路の完成を見通しながらいよいよ本市においても、下水道事業が本格化していくものと感じとれる予算となっております。
以上、要望・意見を交えながら、賛成の立場から、平成25年度当初予算について申しあげてまいりましたが、長引く景気の低迷は、若干、回復の兆しは見え始めているものの、まだ、真の回復には至っておりません。
加えて、本市においても、少子高齢化はますます進展する中にあって、健全な財政運営を行っていくには、とても厳しい社会環境であります。
大久保市長は、施政方針において、将来のまちづくりに向けて、迅速果断に行財政改革に取り組んでいくと述べております。大賛成であります。これから策定する行財政改革大綱において、市政の無駄や、真に必要な施策を見極めるなど、将来にわたり市川市を魅力的なまちとして発展させるために、全力で取り組んでいただきたいと思います。
最後に、行徳臨海部について一言申し上げます。
千葉前市長の時代に本庁から行徳支所への権限・財源の移譲が行われ、支所の判断で地域の実情に応じた行政を行うという配慮から出たものだろうと思います。しかし、このところ支所の事務・事業を本庁に戻そうという気配が見えています。新年度も塩浜区画整理事業、道路補修・側溝整備、公園整備などの事業が本庁に移管されました。私はこれ自体を否定するものではありません。本庁と支所との間の二重行政や、所管の不明確さなど、かえって不都合な点があったことも事実であります。
支所の事務を本庁に移すのは良いが、それによって行徳臨海部への施策が後退するようなことがあってはなりません。
行徳臨海部地域のまちづくり、発展は、今が一番大切な時であります。市長には明確なビジョンとリーダーシップをもって、行徳臨海部を素晴らしい地域に導いていただきたいと要望いたします。
地方財政はタンポポの花に例えられることがあります。
タンポポという一輪の花はたくさんの花びらからできていて、一つ一つの花びらが、色も、形も大きさも違うように、個々の地方自治体の財政もタンポポの花びらのように、健全な自治体や、そうでない自治体があります。わが市川市の花びらは、見事に健全な花びらの姿を見せていると思います。
市川市財政の特徴は歳入に占める市民税、とりわけ個人市民税の割合が
高いことであります。市川市の高い財政力は、市民一人ひとりが額に汗して働いた税金によって支えられているのであります。そうであるならば、市川市の行わなければならない行政は、市民一人ひとりの目に見えるように、市川市を良くしていくことでなければなりません。
一般会計・特別会計、病院事業会計、総額2,125億8,000万円の新年度予算がこうした市民の期待に応えられるものとなるよう、大久保市長はもとより、職員の皆様にも誠心誠意取り組んでいただくようお願いいたしまして、賛成討論といたします。
ありがとうございました。