活動日誌

行徳臨海部特別委員会・2つの干潟を視察

 市川市議会の行徳臨海部特別委員会の視察が11月12日(月)〜13日(火)にかけて行われ、大阪府堺市の「堺浜」と名古屋市の「藤前干潟」を調査しました。

●「堺浜」
 大阪府の堺市にある「堺浜」は、大阪湾の中央に位置し、空港や鉄道、高速道路などの陸・海・空の要衝の地にあります。
 堺市では「堺浜」を「水と緑に囲まれた魅力ある新たな都市拠点」として位置づけ、海域部分には人口干潟を造成中であり、親水性を生かした商業・アミューズメント施設の建設や、市民が海と触れ合えるような海釣り公園、スポーツ・健康づくりの拠点となるサッカー・ナショナルトレーニングセンターの整備計画などをもっています。
 しかし、現地を実際に見てみて、「堺浜」の街づくりは容易ではないなと察しました。
 それは、市民が海辺に親しめる空間をつくるという街づくりの視点だけではなく、「臨海部の開発・発展」という産業立地の促進をもう一方で進め、さらにもう一方で、国がこの地域を「広域防災拠点」として整備する構想をもっており、実に多面的な行政対応が求められているからです。
 その街づくりの困難性は、次のような点から見てとられました。

(1)かつてこの地域の経済を支えていた新日鉄が高炉をとめ、これに伴って多くの企業も撤退し、広大な未利用地が残ってしまっています。新日鉄はその一部を親水公園として堺市に提供していますが(写真1)、広い芝生があるだけで「親水公園」の用に供しているとはとてもいえない気がしました。


写真(1)

(2)大規模未利用地に、シャープが進出する事が今年になって決まり、経済発展にはつながりますが、今後どのような関連企業が立地してくるのかは不透明で、街づくり計画とは無関係に「堺浜」が変貌していく可能性もあり、企業の動向に街づくりも左右される可能性があります。

(3)大型ショッピングセンター(写真2)や、アミューズメント施設温浴施設などもありましたが、広い土地の中にぽつんと整備されている感じで、平日であるからか利用者も少なく、計画性をもって建設されたのか疑問が残りました。


写真(2)

(4)干潟の造成や護岸整備なども行われていましたが、石積護岸には海面から浮遊してくる沢山のゴミがつかまえられて引っかかっており(写真3)、親水性のある環境には残念ながらなっていませんでした。
 「堺浜」の街づくりは、「開発」「発展」と「環境」「保全」という課題を抱えながら、しばらく試行錯誤が続くようです。


写真(3)
 

●「藤前干潟」
 「藤前干潟」は名古屋港西南、臨海工業地帯の中にある、伊勢湾に残る最後の干潟です。
 ゴミ問題に悩む名古屋市がこの地域をゴミ処分場にしようとしたところ、干潟を守る市民の声を結集した運動が展開され、ついに名古屋市もこの構想を撤回し、重要な渡り鳥の中継地である貴重な「藤前干潟」が守られたのでした。現在は国設鳥獣保護区特別保護地区に指定され、ラムサール条約にも登録されています。注目すべきことは、「藤前干潟」を守る運動が単なる反対運動であったのではなく、ゴミ減量の運動となって名古屋市民を巻き込んだことです。市民説明会での苦情や質問は次第に提言に変わっていったという環境意識の変化とゴミ減量化運動の高まりは、220万都市名古屋市のゴミを2年間で23%、4分の3に減らすという結果となって結実しました。「藤前干潟」は名古屋市民が環境問題を考えるシンボル的な存在となっているのではないでしょうか。
 私たちが訪れた干潟には時間の関係で海の水が満ちており干潟を見ることはできませんでしたが(写真4)、周辺にはサッカー場や野球場などのスポーツ施設もあり、干潟を訪れた方々への「ビジターセンター」(写真5)や「野鳥観察館」「活動センター」などが整備されています。


写真(4)

写真(5)

国の鳥獣保護区に指定されたこともあり、わずかではありますが国の予算によりこれらの施設が設置され、国の委託を受け「藤前干潟を守る会」というNPO法人が中心となり、市民らと共に干潟の管理・保全事業が行われています。
 現地を見て、伊勢湾の中に唯一、大変美しい干潟が守られていることに驚かされましたが、「国主導」の環境保全という側面からの事業が前面に出ているという印象をもちました。市民が運動して残した干潟なのですから、もっと日常的に干潟に親しめる環境を整備する(例えば、例外の時期を除いて市民は干潟に入ることができない)など、市民生活にかかわる条件整備が今後の「藤前干潟」の課題ではないかと思い、また我が街の「三番瀬」も同様の課題を抱えていると思いました。

 

過去の活動日誌 総務委員会視察―岡山市・北九州市を訪問 行徳臨海部視察 平成18年5月〜12月 猫実川護岸壁実地検分 平成17年11月〜平成18年4月
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平成15年10月 平成15年9月 平成15年8月 平成15年7月 平成15年6月 平成15年5月