活動日誌

総務委員会視察―岡山市・北九州市を訪問

 私が委員長になって初めて主宰した総務委員会視察が、平成19年10月2日(火)〜4日(木)にかけて行われました。視察先は岡山県岡山市と福岡県北九州市の2都市です。

●岡山市役所
 岡山市は平成21年4月の政令指定都市移行をめざして準備を進めています。平成17年3月に御津町、灘崎町と、平成19年1月に建部町、瀬戸町と合併して、一市4町の合併により70万人都市が実現し、政令指定都市となる要件がクリアーされました。
 岡山市企画局政令指定都市推進課・大月課長から話を聞きました。説明によれば、政令市となり実現すべきことは市民福祉の向上であり、交通の要衝としての拠点性の拡大であるということでしたが、戦国の雄宇喜多氏の城下町として発展してきた古い歴史を持つ岡山市が、すでに昭和55年に政令市となっている広島市と共に、中国地方の中心都市として栄えていって欲しいという強い県民意識が、政令市への移行を目指す岡山市を後押ししているのだろうと強く感じました。政令市移行に否定的な市民の声もほとんどないということでしたし、2市4町の合併がうまく進んだのもそういうことでしょう。また本来権限や財源を岡山市に移譲せざるを得ない県であれば、慎重論も出て然るべきですが、岡山県議会が岡山市の政令市移行をもとめる決議を準備しているように、県自身も推進する側にまわっているのです。
 市川市の千葉市長は、政令市への移行を視野にいれ、周辺各都市との合併を模索していますが、合併して政令指定都市になる意味を市民が十分に理解できないでいる市川市の場合は、岡山市のようにはうまくいかないのではないかというのが率直な感想でした。


 現在岡山市では政令市移行実現への最終段階に入っています。視察に訪れた10月1日から15日までの間に行政区画の編成等についての市民説明会を開催し市民の意見を聞き、12月市議会では政令指定都市の指定に関する意見書を議決する予定になっており、来年秋の政府の閣議決定と政令の交付を待ち、再来年の平成21年に政令指定都市・岡山を誕生させる運びとなっています。
政令市への移行をめざす最終局面の時期に岡山市を訪れ、担当者の意気込みを強く感ずることのできた視察でありました。


岡山市庁舎前で
 

●オリエント美術館
 岡山市には、公立としては国内唯一のオリエントの専用美術館があり、その美術館を視察しました。ここには開館25年を記念して平成15年に取得したアッシリア・レリーフ「有翼鷲頭精霊像浮彫」が展示されていました。教科書でも見た記憶があります。この他にも古代オリエントの文化を伝える石器、土器、陶器、ガラス器、印章、民族衣装など約4800点の品が収蔵されています。谷館長のご案内で館内を観てまわりました。
 歴史的な価値ある遺産を所蔵するという文化的価値というのは、金銭でははかれないものだと思いますが、民間にはとてもできない事業を公共団体が行っていくことも大切なことであると感じたところです。


オリエント美術館前にて

●北九州市役所
 北九州市はご存知の通り100万人規模の政令指定都市ですが、今年2月の市長選挙で新市長として北橋健治市長が就任されました。北九州市では市長選挙で「ハートフル北九州」という理念を打ち出して当選した新市長のもとでまさに新しい基本構想の議論が行われている最中であり、検討されている構想のポイントについて企画政策室の方にお話を伺いました。
 北九州市民の意識調査の結果、満足度のワースト4は、(1)就職などの容易さ(2)犯罪防止(3)一人暮らし高齢者などの生活安定(4)子供を生み育てる環境だとのことで、市川市民の感覚もほぼ同様のものがあると感じました。
 北九州はすでに政令指定都市として蓄積されてきた強い基盤、すなわち都市基盤、産業基盤、知的基盤、文化・歴史的基盤、制度基盤などを活用・保全・充実させていくというのが、これからの北九州の街づくりのベースになるようです。
 こうした基盤の上に立って
1)人にやさしいまちづくり(人への投資、市民生活の質の向上)
2)活力ある元気なまちづくり(若者たちが自信をもって働けるまちの創出)
3)都市基盤の整ったまち(市民の暮らしと活力ある産業の下支え)
4)市民とともにつくるまち(地域の総合力の向上、官民の協調)
というまちづくりの基本的方向が考えられています。
 まだ構想策定作業が始まったばかりで、北橋市長のカラーが出てくるのはこれからでしょうが、北九州には昨年には空港もオープンし、強い都市基盤を使って発展していくだけの魅力を秘めた街であるといえます。充実した学術研究施設、数多くの自動車産業の進出、シリコンアイランド、エコタウンなど将来を見据えたプログラムがすでに展開されています。昨年の環境首都コンテストでは北九州市が総合一位を獲得するなど、各都市からの注目も集めており、「ハートフル=人にやさしい」まちづくりをこれからどう進めていくことになるのか注目していきたいと思います。

 

●北九州市立文学館
 北九州市には昨年(平成18年)10月にオープンしたばかりの市民文学館があります。小倉城の向かいに建設され、中央図書館にも隣接した市の中心部に位置しています。館長はかの直木賞作家の佐木隆三氏です。
 副館長の今川英子女史からお話を伺いました。今川さんはかつて市川市の昭和学院短大で国文学の教鞭をとっておられたとのことで、私たちの視察を大変楽しみに待っておられたそうです。
 この美術館はもともと歴史資料館だったところを改築したために天井が高かったり、奥行きが深かったりダイナミックな印象を持つ美術館です。
 北九州市というと近代産業、ものづくりの街というイメージが強いのですが、映画監督の青山真治さんや市川市ともゆかりの深い詩人の宋左近さんも北九州市のお生まれであるほか、数多くの文学者を輩出しています。北九州市文学館では北九州にゆかりのある文学者の直筆原稿や句、書などを背景に、小説、詩、短歌、俳句など様々な分野で活躍した22名を紹介しています。
 1Fは企画展示室で、毎年春と秋に大きな企画展を開催することになっており、子供用の企画や同人誌展など、敷居を低くした企画でにぎやかなミュージアムをめざしているそうです。壁がスライドして動きフリースペースとして利用できるように工夫されており、講演会や文学教室などを開催するそうです。子供たちから作文を公募して直木賞作家らによる「子供たちのための文章教室」を開催し、好評を博したそうです。
 また北九州市ゆかりの文豪、森鴎外の記念事業として始まった「自分史文学賞」には全国から毎年400点もの応募があるそうです。
 大変興味深かったのは、文箱展示という展示方法を採用しており、引出し状になっている文箱を定期的に入れ替えることで、多くの文学者が紹介できるようになっており、多くの文学館の悩みである、一度来館した方が再び訪れる環境をつくり、リピータの増加に努めていることです。
 北九州市がこれほどまでに文学という芸術に力を入れている都市であるとは思いませんでした。

●松本清張記念館
 北九州市文学館からほど近いところにある松本清張記念館を尋ねました。
 ここでは展示品やグラフィックパネルで清張文学のすべてを分かりやすく紹介しています。現代小説、推理小説、歴史小説と時代小説、現代史、古代史、松本清張フィルモグラフィの6ジャンル別に清張文学の全貌がわかるようになっています。
 圧巻だったのは、松本清張が居住していた杉並区の2階建ての自宅・書斎がそのままの形でここで移設・管理されていることです。前北九州市長が故松本清張氏のご自宅を訪れ、直談判して実現にこぎつけたそうで、直接亡くなったときのままに、沢山の書庫・書棚・約3万冊の書籍や資料を当時のままに移設し、書斎の机や椅子も含めて保存されています。3台の空調設備を使い状態を完璧な形で保存しているそうです。
 この記念館を訪れて改めて松本清張という作家の著作の多さ、活動の幅の広さに驚かされました。

 

●門司港レトロ地区
 歴史ある門司港を、レトロな雰囲気で残すべきものを残しつつモダンな雰囲気に再整備したのが門司港レトロ地区です。
 北九州市では外から訪れた方々のためにこの地区を案内する「案内ボランティア」を委嘱しており、その案内ボランティアの林典子さんに案内していただきました。
 まず、大正3年に建設された当時の2階建の駅舎がそのまま保存されており昭和63年には国の重要文化財に指定されたそうです。建築は左右対称で横線を強調したネオルネッサンス方式で中央に時計が配置され2階部分は「みかど食堂」という食堂があったそうです。ひさしを除けて見ると門司の「門」の形に見えます。周辺の手洗いや洗面所も当時の面影を残しており、抑留者が他国から門司港に帰港し、おいしいと言って飲んだ「帰り水」と呼ばれる水の水飲み場や足洗い場も残されています。


「洗面所」と「帰り水」

 「三井クラブ」という大正10年に山の手につくられた三井物産の社交場もこの地域に移設されて、当時の面影をそのままにとどめています。大正11年にアインシュタイン博士夫妻が訪日した際にはここに宿泊されたという由緒ある建物です。
 大連市との友好都市15周年を記念して立てられた「国際友好記念図書館」は、明示35年に建てられた大連市の東清(とうしん)鉄道のオフィスの建物そっくりに造られており、赤レンガや白の御影石は現地調達して運んできたものだそうです。いかにも風格ある建物だという感じがありました。
 「旧門司税関」は明治43年に建てられた後すぐに消失し、明治45年に新築された建物だそうです。館内には関税業務の歴史や当時使われたものなどが展示されています。「世界の玄関口」として大賑わいしていた頃の門司港の姿を想起せずにはいられませんでした。


「旧門司税関」

 黒川紀章氏設計の「ハイマート」というビルの最上階には「門司港レトロ展望台」があり、門司港から広がる海や、対岸の山口県下関市、関門トンネル、壇ノ浦、巌流島などが一望でき、歴史を感じずにはいられません。若松・戸畑といったかつて鉄の街として栄えた面影は消え、美しい都市北九州の平成の街並みが広がります。
 門司港の内海を塞ぐようにして1993年につくられた「ブルーウイング門司」という橋がかかっていますが、この橋はブルーバイオレットの色をした「はね橋」になっていて、「10時・11時・13時・14時・15時・16時」に鐘がなり端が中央から2つに分かれて上がり、遊覧船がこの時間を利用してここを通過して港に着岸するようになっているとのこと。上がり終わるまで4分、降りてくるのに8分かかり、この時間を含めた20分間は通行禁止になります。
 門司港周辺はこれらの施設を中心に新しく整備されたばかりで、若者のデートスポットとしても定着しつつあるそうです。


「ブルーウイング門司」
 

過去の活動日誌   行徳臨海部視察 平成18年5月〜12月 猫実川護岸壁実地検分 平成17年11月〜平成18年4月
平成17年6月〜17年10月 平成17年2月〜17年5月 平成16年9月〜17年1月 平成16年5月〜8月 平成16年1月〜4月 平成15年11〜12月
平成15年10月 平成15年9月 平成15年8月 平成15年7月 平成15年6月 平成15年5月